化学装置 2016年5月号

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【特 集】世界に誇る日本の粉粒体処理技術
-世界の粉体展に見る新技術・新商品-



粉体技術の国際動向

大阪大学 内藤 牧男

酵素と湿式粉砕によるCNFの製造技術と新素材開発

森林総合研究所 林  徳子

電気移動度径を利用した粒子質量・粒度分布測定法

日本カノマックス 早川 洋平

欧州に見る注目の粉体機器と最新技術動向

吉原伊知郎技術士事務所 吉原 伊知郎

北米に見る注目の粉体機器市場と技術傾向

トリプルエーマシン 石戸 克典

【特集関連記事:国内情報】



リアルクリーンパワーへの礎石
-石炭ガス化発電商業プラント見学レポート(下)

原技術士事務所 原 晋一

【特集関連記事:海外情報】



タイ国に見る化学プロセス・環境技術への貢献現状

Chulalongkorn University Tawatchai Charinpanitkul

【特集関連記事:特別寄稿】



ミューミキシングエレメントによるCOG(コークス炉ガス)の精製設備の改善

カンパニーリミテド 小嶋 久夫,鈴木 照敏

【巻頭言】



水素社会へ向けた粉体技術による挑戦

東北大学名誉教授 齋藤 文良

【インタビュー】



CNFなど新素材開発で活躍する超微粒摩擦機

「スーパーマスコロイダー」

増幸産業 代表取締役 増田 幸也 氏

『工業通信 創業満60周年に寄せて』

工業通信 代表取締役 井上 政基

【特別寄稿】



竪型液状シリコーン成形技術と取り組み事例

日精樹脂工業 池田 透

【連 載】



プラントエンジニアリング・メモ(103)

エプシロン  南  一郎

安全談話室(116)

化学工学会SCE・Net 安全研究会

例題で理解する粉体の基礎入門(2)

富山大学 森 英利

地球環境とバイオリアクター(19)

近畿大学 鈴木 高広

品質・生産性革新へのモノづくり・イノベーションへの再構築(11)

露木生産技術研究所  露木 崇夫

技術者のための創造力開発講座 (25)

飯田教育総合研究所  飯田 清人

液体清澄化の今(5)最近の加圧脱水機(フィルタープレス)

日本液体清澄化技術工業会 石垣 渡邉 義治

P&P Info. 情報ファイル ミニ情報  コラム 次号予告など。




【見どころ①】
今月号の“巻頭言”『水素社会へ向けた粉体技術による挑戦』(齋藤文良氏)を紹介する。
「筆者と元同僚(張其武中国武漢理工大特別教授)は、2009年『バイオマス(主成分はセルロース)からの新しい高純度水素製造法』(特開2009-018955 『水素ガスの製造方法』)を開発した。その手法は、バイオマスに消石灰など無機物を混合し、それを非酸素雰囲気下で400℃程度に加熱するのみである。この熱処理過程ではバイオマスが熱分解し、水素収率は90%以上で、その他のマイナー成分は、メタン、CO、CO2である。従来、バイオマスの熱分解では、800~1000℃程度に加熱するのが一般的であり、水素も発生するが、CO、CO2なども多く発生し、水素を利用する場合は分離が必要となる。我々は、従来法の約半分の温度にこだわった理由は、プロセスの省エネ化と易操作性、炉の長寿命化、温室効果ガス(CO2)の発生量抑制等を優先したからである。CO2発生の抑制のメカニズムは、原料混合物(バイオマス+消石灰など)のMC処理にあり、これによりバイオマスの熱分解で発生するCO2を即座に消石灰が吸収し炭酸カルシウム(CaCO3)として固定化するからである。過去2年間実施した実証試験では、kg/hオーダーの小型回分式スパイラル型水素発生装置を試作し、農畜産系廃棄物(堆肥、鶏糞、豚糞;含水率80%程度)から水素純度約74%(マイナー成分:メタン約12%、アンモニア約3%、N27%、CO約4%)のガスが、300~400-リットル/kg-原料という結果を得ている。下水汚泥についても発生ガス組成は若干異なるが、水素濃度と原料当たりの発生量はほぼ同様である。いずれの場合も原料に微量のNi化合物を添加すると水素発生収率が飛躍的に向上することが確認されている。実証試験では非酸素雰囲気として水蒸気を利用したが、その場合、バイオマス中のセルロースの持つ水素(5モル)を上回る量の水素が生成する。その理由は、水蒸気(水)が分解したことによる。次の課題は、炉の大型化装置・自動化システムの開発とそれによる下水汚泥を含む未利用バイオマス(農畜産廃棄物など)からの水素製造(エネルギー回収)の成功事例である。装置の主要部分は水素発生炉であるが、その前処理工程は、原料調整(MC処理)とそのホッパーへの供給、ホッパーから予熱部への原料混合物の移送、そして、熱分解後では、生成する固体残渣(CaCO3やカーボンなど)のリサイクルによる生石灰生成と原料(含水系)との混合・調整とその原料ホッパーへの供給等、いわゆる粉体技術である。熱分解後に発生するガスは水上置換で回収し、貯留することなく直ちにガスエンジンなどに供給して発電・活用するが、近い将来は、膜分離法などで水素を高純度化し、燃料電池用ガスにすることも良い。エネルギー収支は、原料はもともと廃棄物であり、コストは400~500℃の熱コストが大部分である。例えば、廃タイヤボイラーあるいは焼却施設などでの排熱を利用できるとなればコスト面で有利になる。数ton/dayの処理能力があれば、小規模地域分散型エネルギーとしての活用も見えてくるし、そうなれば農畜産廃棄物の有効活用やCO2排出抑制に留まらず地方創生にも貢献できる。もちろん、まだまだ課題はあるが、挑戦する意義はあると思っている。」と。



【見どころ②】
特集で、世界の粉体展に見る新技術・新商品を取り上げている。その一つ『北米に見る注目の粉体機器市場と技術傾向』(石戸 克典氏)では、次のように紹介している。
「アベノミクスが成功か失敗か議論がされている最中であるが、最近の為替レートは1$110円~120円にあり、この円安傾向はしばらく続きそうであるとの見通しが多くのエコノミストから発表されている。実際2014年から2年以上100円を超える円安傾向が続いているので、この状況を踏まえれば、日本製の機械が世界で十分価格的にも通用する時代になったと筆者は考えている。その理由は、いくつかあるが、一つには、日本の長期円高と低成長が長く続いたために、日本の製造業の効率化が飛躍的に進んだことがあげられる。日本では、1998年の消費者物価指数と2015年のそれはほぼ同じである。一方、米国の2015年の消費者物価指数は、1998年の1.45倍にもなっており、順調に物価は上がっている。価格を下げるために大変な努力を払い、日本でのものづくりを継続してきた企業はここにきて本来の力を発揮し始めている。海外では、コモディティー化の進んだ製品は、アジアの製造原価の安い国に生産シフトしつつ、欧米の自国で生産し販売する製品は毎年値上げをしてきた。そこに、今、日本製品が入り込めるチャンスがある。
北米にも多くの粉体機器メーカーがあるが、市場の大きさに比べ、日本製の機械が十分認知されているとは言えず、日本で有名な粉体機器やそのメーカーを知らない粉体機器ユーザーがいまだ北米に多く存在する。ブランディングのできていない製品が購入されることがないことは、北米においても同じことで、日本でいくらブランディングできていても、それが、アメリカやカナダでできていなければ、見積もり依頼さえ来ない。北米でブランディングを構築するためには、北米のやり方を知る必要があるが、当社は日米に拠点を持ち粉体機器の販売・マーケティングやコンサルティングを行っており、その観点から北米の粉体機器市場について報告する。(以下略)」と。



【見どころ③】
特集関連記事:海外情報では、Chulalongkorn 大学のTawatchai教授らより『タイ国に見る化学プロセス・環境技術への貢献現状』をご寄稿いただきました。初めての試みですが、本文は英文です。アブストラクトのみ日本語併記とさせていただきました。ここでは、その和文概略のみをご紹介させて頂きます。
「〈要約〉ほかの魅力的な投資国との比較において、さまざまな国際調査によると、タイ国は一貫して高いレベルにランクされている。わずか数十年の間に、タイは湾の沖合ガス田の成功探査後に世界最大の石油化学のハブの一つに成長してきた国家工業団地を設立している。また、ASEAN経済共同体 (AEC)の設立のための、観光はじめ、医療、自動車および部品、繊維、衣類、電化製品、コンピュータ、IC,プラスチック、セメントを含むいくつかの主要な企業や産業の多くで、主要な役割を果たしてきている。 
 その結果、下流の産業部門での着実な成長をもたらした化学プロセスメーカーやほかのサービスプロバイダー、との広範な協力と連携がある。一方、より高い社会的関与のため、環境影響評価(EAI)は、すべての新プロジェクトの影響を識別するだけでなく、天然資源を持続的に国家の経済発展のために利用することを保証するための適切な緩和策確立のために採用している。その結果、タイは、気候変動に対処するための特定分野別計画を策定する計画を立てている。すなわち、関連するすべてのセクターを誘発することになる、2050年までに持続可能な開発の流れの確立とともに気候変動の緩和と低炭素成長を達成するための国家ビジョンを持って、種々の気候変動への対応ができるマスタープランを設定している。」と。




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