【中国・広州発】6月9日から12日まで、中国の広州市にてが「ワイヤーアンドケーブル広州」(=W&C展、主催:メサゴ・メッセフランクフルト社)が開催された。昨年同様にアルミ合金電線の出展が目立っていたが、従前のアルミ電線メーカーは凋落し、国家標準認可を受けたレアアース(稀土)高鉄濃度アルミ合金電線メーカーが会場と市場を席捲していた。
 今年で二回目の開催となったW&C展は「ニューノーマル」の経済状況下で若干の規模縮小となったが、世界規模の併設展示会「広州国際照明展覧会」「広州国際建築電気技術展覧会」の効果もあって12日に無事成功裡に閉幕した。従来トレードショーの傾向が強い中国の展示会だが、照明展及び建築電気技術展ではスマートホーム・スマートビルの制御システムが多く出展され、制御法はZigBee、Wi‐Fi、Z‐Wave、DALI等の様々な選択肢が用意されていた。一方で、W&C展では一部の優れた技術力を武器に「勝ち組」となった企業が目立っていた。
特に目立っていたのは、稀土高鉄濃度アルミ合金電線をアピールしていた広東欣意鋁合金電纜だった。同社の本社は安徽省の安徽欣意電纜で、広東の同社と共にアルミ合金電線を生産しており、世界四大アルミ合金電線メーカーの一社と評されている。同本社は94年から中国でアルミ電線の製造を開始した草分け的存在であり、広東は13年から生産を開始した。設立当初は米国向けの輸出であったが、05年より国内向け出荷開始し、14年は10億人民元の出荷実績、15年は20億人民元の見通し(生産規模は50億人民元)、今後中国国内の銅からアルミへの張替え需要から将来的には100億まで増産する見込みだ。
同社のアルミ合金電線で特筆すべきは、国家標準規格GBに国内唯一認可されている点だ。従来、中国ではアルミ電線の標準化がなされずに粗悪品が横行、供給過剰による価格下落と相俟って14年度の中国アルミ業界は8割が赤字とも言われていた。しかし、昨年8月に同社が米国の技術をもとに稀土高鉄濃度アルミ合金WRとアルミ合金導体の二点でGB認可を受けて以来、業界の勢力絵図は大きく変わった。従来のアルミ電線価格は昨年時点で銅電線の凡そ半値であったが更に大きく下落、政府が使用を推奨するものの今や誰も利益確保ができる状況ではなくなった。しかし、同社の稀土高鉄濃度アルミ合金電線は別表の性能を有し、銅電線に比して約30%安い競争的価格となっている。後を追うメーカーの登場も遠くないだろう。
中国の電線業界は、海外展開を視野に着々と技術を蓄積している。現在の成熟した海外電線市場は低価格のみで席捲できるほど甘くはないからだ。日本においても、アルミ合金電線は細径ケーブルを中心に徐々に市場を拡げつつあるが、一部では既に海外メーカーとの競争が展開されている。日本経済の基盤を支えるインフラ業界を単なる価格競争に巻き込まないためにも、日本の業界は銅とアルミの特性分析や推奨用途など顧客に対する十分な説明を行い、競争の拡大に備える必要があるだろう。
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